简介：舞台は駅の待合室に置かれ、外は豪雨が降り注いでいます。この二時間の枠内で、舞台はその場所から一歩も動かないままです。大原と田村が恋人同士であるという設定ですが、彼らは今、この駅で別れのシーンを迎えようとしています。一方、恋を始めたばかりの若いカップルも登場し、また別れた後の生活を送る子どもと再会に来た女性と、かつての夫がベンチに座っています。この三組の心理的なドラマを軸に、駅を出入りする人々の様子が、二時間にわたるドラマの流れの中で描かれます。しかし、一つの物語が終わるとタイミングよく次の物語が始まるという不自然さが致命的で、映画の時間感覚を捉え込んだこの試みは、成功とは言い難い結果となりました。

九年間にわたる交際に幕を下ろす熟年男女、水絵（大原麗子）と保之（田村正和）は、今この雨が降る駅の待合室で、旅の最終章としての別れを告げる準備をしています。その瞬間、雨に濡れながらもしぶしぶ歩いて来た若いカップルと遭遇します。この無邪気に旅を楽しむ若者たちの姿に、水絵は心が乱れ、保之も気まずさを感じます。彼らは一瞬、このカップルのように過ごした過去の頃を思い出します。別れを決意しながらも迷っている彼らの前には、困惑しながらも公衆電話をかけ続ける謎の女性（島倉千代子）が現れます。