相愛月明時

生命保険会社で働くOL、十喜子（演者：江角マキコ）は、その同僚でエリートの拓郎（演者：上川隆也）からのプロポーズを受け、幸せのさなかを過ごしていた。そんな折、十喜子の父、一太郎が経営するラーメン店「一兆」で信（演者：岸谷五朗）が住み込みで働くこととなった。信は誠実な男だが、言葉少なめで、ある種の秘密を隠しているようだった。物語が進むにつれて、信の存在が十喜子の心の中で次第に強固な地位を占めていく。

一太郎の突然な死により、一度は里中家を去り、ビルの建設現場で働いていた信だが、一太郎の息子、千太郎（実は一太郎の実子ではなかった）をよく見守る信の姿に信頼を寄せる十喜子が、信を里中家に戻し、ラーメン店「一兆」の経営を任せることを決断する。

一方、十喜子の妹、百香（演者：木村佳乃）には、かつて交際していた男性とのドラッグ取引の過去があった。百香はその男性に再び「手伝ってくれ」と依頼され、それを拒否すると「姉にばらす」と脅される。異変に気づいた信は、百香が連れ去られる危機に直面するところで窮地を救う。

また、偶然の手紙を見つけることで、百香は一太郎の実子でないことを知り、ディスコで過ごすようになる。百香を気遣った信は、ある朝、彼女に冷たい水をかぶせ「目を覚ましてもらいます！」と呼びかけ、彼女を立ち直らせる。このような経緯で、百香は信に惹かれていくようになる。そして、百香は信にラーメンを教えてほしいと懇願する。

一方、拓郎は城南営業所長への昇進が決まった。しかし、その直後、フタバ・レディに金を持ち逃げされてしまう。失意の拓郎に対して、十喜子は信の病気の介護や百香の問題、千太郎の実母（演者：松田美由紀）が登場し、家の中の喧騒が続く中、拓郎と会う機会が減り、次第に二人の間に溝が生じる。

里中家での信の活躍に感銘を受けた十喜子は、少しずつ心を信に託すようになるが、実は信は元暴力団員で、堅気に転向したのだ。しかし、これを許せない者たちが絡んできて、百香が暴力団員に重傷を負われる。ラーメンを教え、一兆を去ることを決意した信だったが、暴力団員は「一兆を手に入れさせてみる」と信を脅迫する。

そして十喜子は拓郎との結婚ができないことを告白し、自ら信に「好きです」と告げる。信は暴力団と決別する決意を新たにし、傷つきながらも一兆に帰ってくる。十喜子は「お帰りなさい」と迎えるのだった。