虎面人二世

孤児院「ちびっこハウス」に所属する伊達直人は、動物園の虎の檻の前で喧嘩をしたことがきっかけで、悪役レスラー養成機関「虎の穴」からスカウトされる。その後、この機関での殺人的なトレーニングを日々経験する中で、自分と同じような境遇を持つ孤児たちに同じような苦悩を強いることを望まないという強い思いが芽生え、虎の穴を卒業し「タイガーマスク」としてプロレスのデビューを果たす。デビュー後は、収入の一部を孤児院に寄付するようになるが、当初はファイトマネーの半額として支払う上納金の範囲内での援助を考えていた。しかし、自分の出身施設である「ちびっこハウス」の困難な状況を知ると、上納金を含めた全額を寄付せざるを得なくなった。

「虎の穴」はタイガーマスクを裏切り者とみなし、次々と刺客を送り込む。その中で、正統派スタイルへの転向を志願し、当初は身についた悪役スタイルを捨てきれず、また正攻法では大物レスラーに通用しないという苦悩に直面する。レフェリーの目を盗んだ喉笛へのトウキックなどの隠し技を使うこともあったが、ジャイアント馬場に容易に見抜かれ、以降その技は封印される。

やがて、ウルトラ・タイガー・ドロップ、フジヤマ・タイガー・ブリーカー（アニメでは「ウルトラ・タイガー・ブリーカー」）、タイガーVなどの独自の必殺技を開発するが、次々と送り込まれる悪役レスラーたちとの死闘の中で、反則行為に反応することも多くなる。虎の穴で身につけた悪役スタイルと正統派の意識との間で長い葛藤を続ける中、ミル・マスカラスの弟、エル・サイケデリコから、正統派のイメージにこだわる過ぎて、ルールで認められた5カウント内の反則まで否定する兄の苦悩を聞かされ、ようやく解放される。

この助言をきっかけに、ようやく「虎の穴」の呪縛から自由になり、テクニックや反則技の両方で一流を目指すようになる。ドリー・ファンク・ジュニアとの世界タイトルマッチが実現するが、セコンド・シニアの指示でレフェリーを殴打し、苦し紛れの反則負けに終わる。大阪での再戦当日、車に巻き込まれた子供を庇い死亡し、最期の力で虎の覆面を川に投げ捨てたため、伊達直人の事故死とタイガーマスクの失踪は一体となって考えられることになる。